住宅ローン用語集
繰上返済
繰上返済とは
繰上返済は、毎月返済などあらかじめ決められている返済とは別に、元金の一部、または全額を返済をする方法です。毎月の返済額やボーナス払いの返済額は、元金と利息の合計額ですが、繰上返済はすべて元金に充当されます。そのため、予定よりも早く元金が減り、その分の利息が少なくなることで総返済額を軽減する効果があります。
繰上返済の種類
繰上返済には、「期間短縮型」と「返済額軽減型」の2つの方法があります。繰上返済を行う時点で、どちらかを選びます。
期間短縮型
期間短縮型は、繰上返済後の毎月返済額は変えずに返済期間を短くする返済方法です。繰上返済した元金部分に対する利息が軽減し、返済期間が短縮されます。
返済額軽減型
返済額軽減型は、返済期間は変えずに月々の返済額を減らす方法です。繰上返済で支払った金額は、その後の元金部分に均等に充てられ、毎回の元金返済額が少なくなります。かつ、減った分の利息も軽減されるので、毎月の返済額が減り、総返済額も少なくなります。
同じ時期に同じ金額を繰上返済した場合、期間短縮型と返済額軽減型で、効果はどのように異なるのでしょうか?
<例>
借入金額3,000万円、35年返済、全期間固定金利型、金利1.8%
元利金等返済、ボーナス払いなし
<5年後に100万円の繰上返済を実施>
5年後100万円返済 | ||
---|---|---|
期間短縮型 | 返済額軽減型 | |
毎月の返済額 | 96,327円 | 96,327円 |
繰上返済後の返済額 | 96,327円 | 92,722円 ▲3,605円 |
残りの返済期間 | 28年7ヶ月 1年5ヶ月短縮 |
30年0ヶ月 |
減少する利息額 | 691,552円 | 293,999円 |
利息の軽減効果は、期間短縮型の方が大きくなります。そのため、総返済額を減らすために繰上返済を行う場合には、期間短縮型が適しています。
一方、返済額軽減型は毎月の返済額が少なくなるので、毎月の支払いを減らしたい場合に適しています。また、変動金利型など、途中で金利が変わるタイプの住宅ローンで、金利が上昇し返済額が増えてしまった場合などにも活用できます。
繰上返済はどのタイミングで行うのがよい?
繰上返済を行うタイミングはいつがよいでしょうか?
前述の例の住宅ローンの繰上返済を、5年後に行った場合と10年後に行った場合で比較してみると、期間短縮型も返済額軽減型も、5年後に行った方が減少する利息額が多いことがわかります。
このように、繰上返済は実施する時期が早ければ早いほど利息額の軽減効果は大きくなります。
<10年後に100万円の繰上返済を実施>
10年後100万円返済 | ||
---|---|---|
期間短縮型 | 返済額軽減型 | |
毎月の返済額 | 96,327円 | 96,327円 |
繰上返済後の返済額 | 96,327円 | 92,174円 ▲4,153円 |
残りの返済期間 | 23年8ヶ月 1年4ヶ月短縮 |
25年0ヶ月 |
減少する利息額 | 547,806円 | 241,681円 |
繰上返済の方法
銀行等の住宅ローンの繰上返済
繰上返済の方法は金融機関によって異なりますが、インターネット、窓口、書面などの方法があります。
繰上返済額は、1円、1万円などと最低金額が決まっている場合や、1ヶ月分や、ボーナス返済併用の場合は6ヶ月分など、期間が決められている場合など、金融機関によって異なります。
また、繰上返済手数料は、一般的に一部繰上返済の場合は、インターネットでの手続きであれば無料、窓口や書面での手続きは1〜3万円程度です。また、別途保証会社への手数料が必要になることもあります。
手数料がかかる場合は手数料分も含めて繰上返済の効果を確認してから行いましょう。
【フラット35】の繰上返済
【フラット35】を繰上返済する場合は、融資先の金融機関に繰上返済する1ヶ月前までに申し出が必要です。最低金額は、窓口の場合は100万円、インターネットで手続きする場合は10万円です。ただし、ボーナス払いを併用している場合には、6ヶ月単位になります。手数料はいずれの方法でも無料です。
繰上返済のメリットとデメリット
繰上返済のメリット
繰上返済により、総返済額を減らすことができます。期間短縮型であれば、定年退職前や教育費のピークを迎える前までに完済を目指すことができます。返済額軽減型であれば、毎月の返済額を減らすことで家計に余裕ができたり、金利上昇による返済額アップを抑えたりすることも可能です。
繰上返済のデメリット
繰上返済をすることで、手元の預貯金は減ってしまいます。時期が早い方が利息の軽減効果は大きいのですが、子どもの進学を控えているなど、資金が必要なライフイベントがある場合などは、手元の預貯金をしっかり準備しておくことを優先しましょう。
また、住宅ローン減税の対象期間中に繰上返済を行うことで、年末残高が減り、減税額が少なくなることもあります。繰上返済による効果と減税の効果を比較してから行いましょう。
まとめ
繰上返済の第一の効果は、総返済額を減らせるという点です。ただし、一度繰上返済をしてしまうと、その資金を取り戻すことはできないため、預貯金とのバランスをとりながら行うことが大切です。
また、期間短縮型の方が利息軽減効果は大きいのですが、金利が上昇した場合などは、返済額軽減型で家計を安定させることも重要です。どちらの方法をとるかは、その時点での状況によって選択しましょう。
- この「用語集」は、あくまで一般的な説明をしているもので、当社の商品の説明や広告をするものではありません。
- 記事中に用いているシミュレーションの金利は試算例であり、実際とは異なります。