住宅ローン用語集
遅延損害金
遅延損害金とは
遅延損害金とは、お金の貸し借りや賃貸借契約などで金銭の債務がある場合、債務者が約束したとおりに支払わなかったときに発生する損害賠償金のことです。金銭債務の金額に対して一定の利率で、遅延した期間に応じて計算されます。「延滞利息」とも呼ばれますが、利息ではなく損害賠償金であり、債務者は支払いを拒むことはできません(民法419条3項)。
どんな場合に遅延損害金が発生するのか
遅延損害金は支払い期日の翌日から発生します。身近なケースでは、以下のような債務履行遅延の場合に遅延損害金が発生します。
- 住宅ローンの返済の遅延
- 消費者ローンの返済の遅延
- クレジットカードのショッピング利用分の支払い遅延
- キャッシング利用分の支払い遅延
- 不動産や動産の買主から売主への代金の支払い遅延
遅延損害金の利率はどれくらい?
遅延損害金には「約定利率」と「法定利率」の2種類の利率があります。
種類 | 内容 | 利率 | ||
---|---|---|---|---|
約定利率 | 当事者間で決めた利率。 上限あり。 契約で法定利率を 超える約定利率が 取り決められている場合、 約定利率で計算。 |
お金の貸し借り | 基本 | 営業的金銭消費貸借の場合 |
利息制限法第1条に 規定する率の1.46倍 |
20% (利息制限法) |
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個人間の貸し借り |
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お金の 貸し借り以外 |
基本 | 消費者契約の場合 | ||
制限はないが 公序良俗に 反する場合は無効 |
14.6% (消費者契約法) |
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個人間のやりとり |
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法定利率 | 約定利率が決められていない 場合には法律により 定められた利率で計算。 |
変動性。 2024年3月現在3%。 |
約定利率の上限は利息制限法と消費者契約法で定められています。身近なケースでは、商売でお金の貸し借りをしている銀行や消費者金融からの借金については上限20%、クレジットカードのショッピング利用や家賃など、消費者契約に該当するものは上限14.6%となっています。
遅延損害金の計算方法
遅延損害金は、以下の算式で計算されます。
遅延損害金=滞納している金額×遅延損害金の利率÷365×滞納している日数
起算日は支払い期日の翌日からです。
クレジットカードのショッピング
クレジットカードで30万円のショッピングをして支払いを20日間遅延した場合。
遅延損害金利率14.6%
30万円×14.6%÷365×20日=2,400円
住宅ローン
毎月返済額15万円(元金部分は10万円とする)の返済を2ヶ月滞納。遅延損害金率14%。当初30日は10万円を滞納、次の30日は20万円を滞納したことになる。
10万円×14%÷365×30日+(10万円+10万円)×14%÷365×30日=約3,452円
この遅延損害金のほかに、決められた利息も支払う必要があります。分割払いの場合、1ヶ月ごとに元金の滞納分が加算されます。さらに滞納が続き期限の利益を失った場合、一括返済を求められます。仮にその残高が2,000万円、延滞が30日だった場合は以下のように高額になります。
2,000万円×14%÷365×30日=約23万円
毎月支払う家賃についても住宅ローンと同様に計算します。
もし支払えなくなったら
ローンやクレジットカードの支払いなど、期日までに支払いができそうにない場合や滞納してしまった場合は、放置せずにできるだけ早く支払い相手に相談することが鉄則です。
クレジットカードのショッピング利用の場合
支払い期限を過ぎてしまい引き落としができず、その後の支払いも困難な場合はすぐにカード会社へ連絡をして支払い延期の交渉をしてみましょう。ボーナスで払う、後日払う、分割支払いにするなど、可能な手段があるなら一度相談をするべきです。何もせずに放っておくと、カードの利用停止、督促状の送付、一括請求や差し押さえといったように手続きがどんどん進み、対策ができなくなってしまいます。遅延損害金は滞納している債務がなくなるまでかかります。
住宅ローンの支払いの場合
毎月の返済ができなくなったら(できなくなりそうだとわかったら)借入先の金融機関にすぐに相談し、返済計画の見直しの相談をしてみましょう。それでも返済が難しく自宅を手放すしか方法がない場合は、任意売却ができるよう金融機関と交渉しましょう。任意売却がうまくいけば、残債があってもその後の生活に無理のない返済を継続できる可能性があります。遅延損害金が膨らまないよう早めの売却が理想です。
家賃の場合
家賃を滞納すると遅延損害金が発生し、3ヶ月間滞納すると契約を解除されることがあります。支払いができそうにない、支払いができなかったらすぐに貸主に相談してください。督促などを無視していると、保証会社が代位弁済をして滞納した家賃を一括請求されます。
どうしても支払いができない場合は債務整理を考える必要がありますが、生活福祉資金貸付制度や生活困窮者自立支援制度などの公的制度が利用できるかも確認してみましょう。
まとめ
ローンや家賃などを滞納したときに請求される遅延損害金は、法律上必ず支払う義務があるものです。債務整理に時間がかかると、その分遅延損害金も膨らみますので支払いが厳しくなったと思ったら、支払い相手にすぐに相談するようにしましょう。
- この「用語集」は、あくまで一般的な説明をしているもので、当社の商品の説明や広告をするものではありません。
- 記事中に用いているシミュレーションの金利は試算例であり、実際とは異なります。