住宅ローン用語集

長期優良住宅

長期優良住宅とは

長期優良住宅とは、「長期にわたり良好な状態で使用するための措置が講じられた優良な住宅」のことをいいます。長期優良住宅の認定を受けるには、維持保全計画を作成し、所管行政庁に申請する必要があります。
長期優良住宅の認定を受けた住宅は、維持保全計画に基づき計画的に点検を行い、必要に応じて調査・修繕・改良を行うこと、そして、その記録を保存することが求められます。

長期優良住宅の基準

長期優良住宅として認定されるには、下表のような基準に適合している必要があります。細かな技術基準等は建築会社やハウスメーカーに確認しながら進めるとよいでしょう。

長期優良住宅の主な基準

性能 基準の概要
劣化対策 世代を超えて住み継げるように、構造や骨組みをしっかりと造ること。そして、維持管理を行い、数世代にわたり使い続けられる耐久性を持った長持ちの工夫がされた住宅であること。
耐震性 大地震がきても簡単に倒壊せず、一定の耐震性があること。また損傷を最小限に抑え、地震後も修復して住み続けられること。
維持管理・更新の容易性 構造躯体に比べて耐用年数が短い設備配管の維持管理(清掃・点検・補修・更新)がしやすい住宅であること。
省エネルギー性 長く住み継ぐための快適性や経済性に配慮された一定の省エネルギー性能を持つ住宅であること。
居住環境 良好な景観形成など、地域の居住環境にも配慮された住宅であること。
住戸面積 将来の家族構成やライフスタイルの変化に柔軟に対応できる必要な広さが確保されている住宅であること。(一戸建て75㎡以上、共同住宅40㎡以上)
維持保全計画 将来を見据えた定期的な点検、修繕等の計画を策定し、その計画どおりに維持管理を行うこと。さらにその記録を保存すること(「住宅履歴情報」等の活用)。

長期優良住宅のメリット、デメリット

長く住み続けられる住宅として長期優良住宅の認定を受けるメリットとデメリットには、次のようなものが挙げられます。

長期優良住宅(新築)のメリット

1.地域型住宅グリーン化事業の補助金が利用できる

地域型住宅グリーン化事業とは、国土交通省の採択を受けた、地域の工務店等で建築する省エネルギー性能や耐久性などに優れた木造住宅に対する補助金制度です。長期優良住宅であれば、この適用条件に当てはまり、最大140万円の補助が受けられます。

2.住宅ローンの金利引き下げが受けられる

【フラット35】には、長期優良住宅の場合に借入金利を一定期間引き下げる制度があります(【フラット35】S)。

3.税の優遇措置が受けられる

長期優良住宅の場合、次の税金の優遇措置があります。

  • 住宅ローン控除の控除対象借入限度額の引き上げ(3,000万円→5,000万円 2023年末までに入居の場合)
  • 自己資金で長期優良住宅を購入した場合の最大65万円の税額控除
  • 登録免許税の税率引き下げ
  • 不動産取得税の課税標準からの控除額の増額
  • 固定資産税の減税措置期間の2年間延長

4.地震保険料の割引が受けられる

長期優良住宅の場合には、地震保険の割引制度のうち、耐震等級割引(30%または50%)か免震建築物割引(50%)のいずれかを受けることができます。

長期優良住宅のデメリット

では、長期優良住宅にはどのようなデメリットがあるでしょうか。
まず、建築費が増える傾向にあり、また、申請に費用がかかるなどコストが高めになりがちです。建築後も維持保全計画に沿ったメンテナンスが必要なため、将来にわたって、維持費用を確保する必要があります。維持管理ができないと将来、認定が取り消されることもあります。

長期優良住宅と住宅ローンの関係(【フラット35】との関係)

長期優良住宅の場合、【フラット35】を利用する際には次のようなメリットがあります。

1.金利の引き下げ

【フラット35】では、省エネルギー性や耐震性などを備えた質の高い住宅を取得する場合、借入金利を一定期間引き下げる制度である【フラット35】Sがあります。

技術基準に応じて、次のような金利引き下げメニューがあり、併用できるものもあります。

金利引き下げメニュー 金利引き下げ期間 金利引き下げ幅
【フラット35】S(ZEH) 当初5年間 年▲0.75%
【フラット35】S(金利Aプラン) 当初5年間 年▲0.50%
【フラット35】S(金利Bプラン) 当初5年間 年▲0.25%

長期優良住宅の場合、【フラット35】維持保全型(※)と【フラット35】S(金利Aプラン)を併用することができ、その場合、当初5年間は年0.75%の金利引き下げとなります。

また、ZEH水準の長期優良住宅を取得する場合には、【フラット35】維持保全型と【フラット35】S(ZEH)を併用することができ、当初5年間は年1.00%の金利引き下げとなります。

  • 維持保全・維持管理に配慮した住宅や既存住宅の流通に資する住宅を取得する場合に、当初5年間について年0.25%金利引き下げになる制度。

2.【フラット50】が利用できる

長期優良住宅の場合、最長50年間の長期固定金利住宅ローン【フラット50】を利用できます。返済期間を長期にすることで毎月の返済額が下げられるメリットがあります。また、住宅ローン返済中に長期優良住宅を売却する事情が発生しても、次の購入者に住宅ローン返済を引き継ぐ住宅ローン付きでの売却が可能になります。

3.金利引継特約付き【フラット35】を利用できる

【フラット35】返済中に長期優良住宅を売却する場合、次の購入者に【フラット35】の債務を引き継ぐことができる制度が利用可能となります。

長期優良住宅は、建築費などのコストは高めになるかもしれませんが、税制面や住宅ローンの金利面などでも多くのメリットがありますので、総合的に判断しましょう。国の住生活基本計画では、住宅政策は「量から質への転換」とされています。今後、「長く住み続けられる」という視点が住宅の基本的な考え方としてより重視されていくと考えられます。

  • この「用語集」は、あくまで一般的な説明をしているもので、当社の商品の説明や広告をするものではありません。
  • 記事中に用いているシミュレーションの金利は試算例であり、実際とは異なります。

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