住宅ローン用語集
期限の利益
期限の利益とは
期限の利益とは、決められた期日が来るまでローンの返済や代金の支払いなどをしなくてもよいという債務者の利益(権利)のことです。民法136条1項には「期限は、債務者の利益のために定めたものと推定する」と記されています。例えば、住宅ローン3,000万円を返済期間30年、分割で毎月返済するという契約は、債務者が得た期限の利益です。民法135条1項では「法律行為に始期を付したときは、その法律行為の履行は、期限が到来するまで、これを請求することができない」としていて、債権者は返済期日まで返済金を請求できないことになっています。
期限の利益の喪失とは
期限の利益の喪失とは「期限の利益」を失うことです。例えば住宅ローンの場合、毎月の返済期日までに約束した返済ができない状態になった場合や、破産の申し立てをしたときなどに債務者は期限の利益を失います。
民法137条では以下のような場合に債務者は期限の利益を主張することができないとしています。
- 債務者が破産手続開始の決定を受けたとき
- 債務者が担保を滅失させ、損傷させ、又は減少させたとき
- 債務者が担保を供する義務を負う場合において、これを供しないとき
これらの根拠に基づいて、金融機関は期限の利益を喪失するケースを契約書に記載しています。債務者が期限の利益を喪失すると、ローンを貸している銀行などは残りの債務の一括返済を求めることになります。
期限の利益の喪失条項は?喪失日はいつ?
住宅ローンの契約では、債務者の期限の利益が喪失する事由として「当然喪失事由」と「請求喪失事由」の2つを定めていることが一般的です。金銭消費貸借契約書には「期限の利益の喪失」もしくは「期限前の全額返済義務」という条項に喪失事由が記されています。
当然喪失事由は事由が発生した時点で自動的に期限の利益を失います。請求喪失事由は事由発生後に、債権者が債務者に請求をした段階で期限の利益を失います。
喪失事由の例
当然喪失事由 |
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請求喪失事由 |
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期限の利益喪失通知書がきたらどうしたらよい?
期限の利益を喪失すると債務者は残金を一括返済しなければなりません。一括返済が難しい場合は債権者と交渉します。自身の状況をしっかり説明すれば、分割や期限の延期に応じてもらえるかもしれません。1人で行うのは難しいため、弁護士のサポートを受けるとよいでしょう。それでも難しい場合は債務整理を検討します。債務整理も弁護士にサポートを依頼しましょう。住宅ローンの場合、担保になっているのはローンの対象である自宅です。債権者は裁判所に競売の申し立てをしますが、債権者と話しをして任意売却ができるようにするのも対処方法の一つです。任意売却の方が競売よりも高く売却できる可能性があります。毎月の返済が厳しいことで滞納が続き、期限の利益が喪失する可能性があるなら、その時点で任意売却を検討するなど早めに行動することが得策です。
まとめ
期限の利益は債務者に与えられた特権ではありますが、喪失すると厳しい対応を迫られることになります。喪失する事由に当たらぬよう、住宅ローンを契約する前から自身の家計やライフプランをしっかり整理しておきましょう。
- この「用語集」は、あくまで一般的な説明をしているもので、当社の商品の説明や広告をするものではありません。
- 記事中に用いているシミュレーションの金利は試算例であり、実際とは異なります。